ー序文ー

 2021年3月、新型コロナ第三波に伴う緊急事態宣言が明けて間もない東京で、
ショスタコーヴィチ歌曲個展―生誕115周年に寄す―と銘打った演奏会がひっそりと開かれた。
1人の歌手と1人のピアニストが、ショスタコーヴィチばかり六つの歌曲集、二時間を超えるプログラムを歌い通すという前代未聞の試みはひそかな、しかしとてつもない話題を呼んだ。
 その第2弾となる本公演では規模をさらに拡張し、重唱も含む大小13に及ぶ作品を4人の歌手が代わる代わる歌う。
それもわずか15歳の少年の手による《クルィローフの二つの寓話》から、死の前年に書かれた最後の歌曲《レビャートキン大尉の4つの詩》まで、半世紀に亘る作曲者の足取りを俯瞰する「歌曲の大回顧展」とでも呼ぶべき充実した内容となった。
 日本でショスタコーヴィチの音楽が聴かれる機会は、一部の交響曲など限られた作品に偏っており、声楽を伴う楽曲が取り上げられることはまだ少ないのが現状だ。
前回に引き続き、ロシア音楽の第一人者、一柳富美子氏による解説と字幕を伴う演奏により、この作曲家が歌曲というジャンルに託した思想を通して、作曲家の新たな側面を発見するきっかけとなるだろう。

ショスタコーヴィチ歌曲個展 第2回

初期から晩年まで 半世紀の歌曲創作の軌跡

日時

2022年12月27日 (火)
開場 16:30
開演 17:00
(終演予定 21:00)

 

会場

大泉学園ゆめりあホール

東京都練馬区東大泉1-29-1

西武池袋線「大泉学園駅」北口徒歩1分(「ゆめりあ1」建物内6階)

 

チケット

料金

全席自由 一般4,000円、学生3,000

6歳以上入場可。

 

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ゆめりあホール窓口

■販売期間 9/27 ~ 12/26

■窓口受付時間 10:00 ~ 20:00

(12/26のみ10:00 ~ 16:00)

 

お問い合わせ

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アドレス: opera.abq.20200614@gmail.com

 

主催

オペラ団体ABQ

 

支援/助成

(公財)練馬区文化振興協会 舞台芸術支援事業

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [スタートアップ助成]

 

出演者

坂口真由(ソプラノ)

鹿児島県出身。3歳のときに親戚からおさがりのピアノをもらい、習い始めたことがきっかけで音楽に興味を持つ。NHK鹿児島児童合唱団第1期生として小学4年次から5年間活動。高校2年次より本格的に声楽を学び始める。
鹿児島県立鹿児島中央高校卒業、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、現在同大学院音楽研究科修士課程独唱専攻2年次に在学中。
W.A.モーツァルト作曲の歌劇《魔笛》夜の女王、G.プッチーニ作曲の歌劇《ラ・ボエーム》ムゼッタ役などを主なレパートリーとする。

益田早織(メゾ・ソプラノ)

埼玉県立大宮光陵高校音楽科、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。
これまでにヴィヴァルディのグローリア、第九、メサイア、ヴェルディやデュリュフレ、モーツァルトのレクイエムなどのソリストを務め、オペラでは「ヘンゼルとグレーテル」ゲルトルート、「ディドとエネアス」魔法使い、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・エルヴィーラ、「森は生きている」おっ母さん、「泣いた赤鬼」女房などを演じる。
第88回日本音楽コンクール入選、第24回松方ホール音楽賞受賞など他入賞多数。
農楽塾第5期生。
びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー。
これまでに富永順子、青木美稚子、葉玉洋子、R.ヴェルナー.D、J.N.ブリヨン各氏に師事。

金沢青児(テノール)

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業、大学院音楽研究科修士課程修了。修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。2017年藝大フィルハーモニア管弦楽団合唱定期演奏会にてバッハ《ミサ曲ロ 短調》のソリストを務める。
2018年《カンティクル》全5曲を含むオール・ブリテン・プログラムによる自身初のリサイタルを開催。2021年にはクルシェネク没後30年を記念した演奏会を企画し(北とぴあ国際音楽祭2021参加公演)、日本初演となる室内オペラ《信じること、その値段は》に出演。
古楽アンサンブル コントラポント、サリクス・カンマーコア、ヴォクスマーナの定期演奏会へ参加するなど、古楽から現代音楽にいたるまで幅広い活動を行う。

牧山 亮(バス・バリトン)

大分県立芸術文化短期大学、東京藝術大学を卒業。卒業時に同声会賞を受賞。同大学院オペラ専攻修士課程を修了。
幻の作曲家 内本喜夫の研究がライフワーク。
宗次エンジェル基金/公益社団法人日本演奏連盟奨学生。
2021年、作曲家エルンスト・クルシェネク(1900-1991)のオペラ《信じること、その値段は》を自身が代表を務めるオペラ団体ABQにおいて北とぴあ国際音楽祭2021で日本初演。同団体はオペラと並行して、歌曲個展という毎回1人の作曲家に焦点をあて、その作曲家の歌曲作品を網羅する企画を行なっている。
2022年、ロンドンにおいてコンテンポラリー・オペラにキャスティングされ演奏を行い、絶賛される。

川村恵里佳(ピアノ)

東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業、同大学院鍵盤楽器研究領域修了。修了後、同大学非常勤研究員を務める。第11回現代音楽演奏コンクール”競楽XI”にて、審査委員特別奨励賞を受賞。
現代音楽の演奏に積極的に取り組み、ウィーンモデルン音楽祭(オーストリア・ウィーン)、ハニャン現代音楽祭(韓国・ソウル)をはじめ数々のプロジェクトに参加するほか、NHK-FM「現代の音楽」にて演奏が放送される。
新作の初演もこれまでに数多く行っている。ソロのみでなく、室内楽にも力を入れ、Phidias Trio(フィディアス・トリオ)のピアニストとしてもアクティブな活動を続けている。

一柳富美子(解説/字幕)

ロシア音楽学者。東京外国語大学を経て東京芸術大学大学院音楽研究科修了。国際音楽学会ショスタコーヴィチ班アジア代表委員。
ロシアオペラ・声楽とピアニズムに特に造詣が深い。専門とする作曲家はムソルグスキー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィチ。研究・執筆の他にロシア声楽指導・通訳・翻訳の分野でも活躍。邦訳した音楽作品は大曲50以上、歌曲は1000曲を超える。
NHK・EテレやFM・N響ライヴのロシア回ゲスト解説者も務める。ロシア語声楽指導者としては日本人唯一で、内外の指揮者やコレペティから絶賛。東京藝大声楽科で10年間演習・実習授業を担当したほか、演奏現場では30 年前から独自のディクションテキストを用いて、オペラ・オラトリオなど100以上のプロダクションで指導している。
単著『ムソルグスキー』『ラフマニノフ』共著『ロシアの歳時記』他多数。

演奏曲目

クルィローフの2つの寓話 作品4
Две басни Крылова, соч. 4 (1922)

日本の詩人の詩による6つのロマンス 作品21a
Шесть романсов на слова японских поэтов, соч. 21а (1928-32)

ユダヤの民族詩から 作品79
Из еврейской народной поэзии, соч. 79 (1948)

レールモントフの詩による2つのロマンス 作品84
Два романса на стихи М. Ю. Лермонтова, соч. 84 (1950)

ドルマトーフスキイの詩による4つの歌 作品86
Четыре песни на слова Е. Долматовского, соч. 86 (1950-51)

ギリシャの歌
Греческие песни (1952-53)

口づけを重ねた
«Были поцелуи» (1954)

風刺(過去の情景) 作品109
Сатиры («Картинки прошлого»), соч. 109 (1960)

雑誌「クロコディール」の言葉による5つのロマンス 作品121
Пять романсов на слова из журнала «Крокодил», соч. 121 (1965)

自作全集への序文とその序文についての短い考察 作品123
Предисловие к полному собранию моих сочинений и краткое размышление по поводу этого предисловия, соч. 123 (1966)

春よ、春よ…… 作品128
«Весна, весна», соч. 128 (1967)

ミケランジェロの詩による組曲 作品145
Сюита на слова Микеланджело, соч. 145 (1974)

レビャートキン大尉の4つの詩 作品146
Четыре стихотворения капитана Лебядкина, соч. 146 (1974)

※演奏順未定